電波的マイダーリン!
最近、乙女モードになりがちな脳内で、そんなことを考えたあたしはすぐさま靴に履き替える。
「今日はバイトもないから付き合ってしんぜよう!!」
「どーも」
「で、どこに行くんだい!?」
「さぁ?」
「え、決めてないんすか!?」
「ま、行けば分かる」
そりゃそーだけども…。
肩を落としてちょっと呆れ気味なあたしの目の前に、カイトが左手を差し出す。
なんだろうとその綺麗すぎる手を見つめていると。
「手」
「はい?」
「繋がない?」
「…………ッ!!
…つっ繋ぎます!!」
何故か敬礼して宣言したあたしは、恐る恐るといった感じでカイトの手に、自分の右手を重ねる。
そんな“お前は初恋の思春期中学生か”って感じのあたしを見つめ、カイトは目を細めて微笑む。
…うぅ…。
…ダメだ…キミのその微笑みはいろんな意味でデススマイルですよ…。
二人同時にゆっくりと握り締めた手は、やっぱり温かくて、いいなと思った。
こういうのって、すごくいいと思う。
こういう瞬間って、すごく幸せな気分。
「千早の手って、小さいよね」
「そうかにゃー…カイトの手が大っきいのだよ」
「普通だろ」
「それならあたしも普通サイズ!」
「や、ちっさい」
「じゃ、おっきい!」
「…………。」
「むー……。」
たぶん、考えてたことは一緒。
目が合った瞬間、二人して笑った。