電波的マイダーリン!




浅いはずの噴水の中で溺れかけてるあたしの手を、


その時誰かが掴んだ。




「千早っ」




あたしを呼ぶ声は、今日、突然現れたゲームキャラのもの。

引っ張り起こされて、あたしはようやく噴水という名の海から脱出。


「ゲホッ…うえ…水飲んだ…」


咳き込むあたしの背中を擦る、カイト。


「千早、大丈夫か!?」


珍しく声に焦りが混じってる。

あたしは思わず、首を横に振った。


「…大丈夫なわけないじゃんか…」


散々だ。


「もう限界だよ!!最悪だよ!!

朝から晩までキミの機嫌とるなんて疲れるよ!!

お金全部なくなるし!
今日買いたかったマンガがあったのに!!

走り疲れるし!
恥かくし!

終いには噴水に落っこちるし!!」


気づいたら涙が零れてて、でもずぶ濡れだからバレないと思って、水を拭うフリをして目を擦る。


「……あたしは!

赤くなんないし!
可愛くなんてないし!

乙女捨てたんだから…!!

だからドキドキするとか似合わないし…!!

なのに…かっカイトと居るとあたし変だ……ッ!

だから…傍に来ないでよ……」


ギュッと瞼を閉じ、言い切る。

バッドエンドなのはわかってた。





< 20 / 375 >

この作品をシェア

pagetop