電波的マイダーリン!
浅いはずの噴水の中で溺れかけてるあたしの手を、
その時誰かが掴んだ。
「千早っ」
あたしを呼ぶ声は、今日、突然現れたゲームキャラのもの。
引っ張り起こされて、あたしはようやく噴水という名の海から脱出。
「ゲホッ…うえ…水飲んだ…」
咳き込むあたしの背中を擦る、カイト。
「千早、大丈夫か!?」
珍しく声に焦りが混じってる。
あたしは思わず、首を横に振った。
「…大丈夫なわけないじゃんか…」
散々だ。
「もう限界だよ!!最悪だよ!!
朝から晩までキミの機嫌とるなんて疲れるよ!!
お金全部なくなるし!
今日買いたかったマンガがあったのに!!
走り疲れるし!
恥かくし!
終いには噴水に落っこちるし!!」
気づいたら涙が零れてて、でもずぶ濡れだからバレないと思って、水を拭うフリをして目を擦る。
「……あたしは!
赤くなんないし!
可愛くなんてないし!
乙女捨てたんだから…!!
だからドキドキするとか似合わないし…!!
なのに…かっカイトと居るとあたし変だ……ッ!
だから…傍に来ないでよ……」
ギュッと瞼を閉じ、言い切る。
バッドエンドなのはわかってた。