電波的マイダーリン!
「…やっぱ、携帯面倒」
「…でも、連絡取れないよりはいいと思う」
「…………。根に持ってんだ?アレ」
「…そうじゃないけど…ホントのことだし…」
夏のことを思い出して、口を尖らせるあたし。
そんなあたしに、カイトは。
「だから買ったんじゃん。携帯」
「…えっ」
「連絡取りやすいように」
「あー…」
「あと、千早が迷子になったとき捜しやすいように」
「その理由は結構だよ!!」
ムキになって顔を背けるあたしに、カイトはバカにしたように笑って、携帯をこちらに向けた。
「…なんすか?」
「番号」
「はい?」
「教えて?」
「…あ!」
意味がわかったあたしはすぐに携帯を取り出し、カイトの携帯に近づける。
「赤外線で…って、赤外線のやり方わかる?」
「当然」
「じゃ、送るから!」
「りょーかい」
あたしの携帯の番号とアドレスとかを送って、携帯を操作するカイト。
「登録できた?」
「完了」
「カイトのも教えてよ!ハイ、送って!」
「はいはい」
おかしそうに笑いながら、カイトの携帯番号とアドレスを受け取る。
あたしはそれを電話帳に登録した。
『一ノ瀬カイト』
あたしがつけた名前が、電話帳にある。
なんか、変な気分。