電波的マイダーリン!






携帯が、ポケットから滑り落ちた。




カツンとアスファルトにぶつかり転げたそれ。


けれどあたしは、それに気付くことなく。



…――それが、また事件に発展するなんて、


この時のあたしは、まったく予想できなかった。
















その夜、ウチに一本の電話が入った。





『――ちょっとあんた。なんで携帯出ないのよ!!』



相手は花梨。

あたしは野菜スープをかき混ぜるおたまをクルクルさせながら「え~?」と首を捻る。


「携帯ぃ?鳴ってないと思うけどー」

『鳴らしてるわよ!!何度も何度も!!』

「やっやめてくれたまえ電話代高くなりそうだから!!」

『もうこうなったら携帯にあんたが出るまで鳴らしてやろうかしら。』

「もぉ~なんなのさ~なんの重大な用があってそんな急いでるのさ~」

『あっ』

「え、なんすか?」

『なんの用だったかしら』

「ちょっww花梨さんそれはマジッすかww」


あたしはスープをかき混ぜつつケラケラと笑う。

電話越しに怒る花梨が面白いww


『ちょっと待ちなさいよ!?あ゛ぁもうあんたと無駄話ししてたら忘れちゃったじゃない!!』

「いいジャマイカ。大した用でもないんでしょ?基本あたし携帯は電話出ないしー」

『出やがれ。』

「通話料かかるじゃん。家電の方が安いのだよーみかりん」

『主婦か貴様。』





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