電波的マイダーリン!




…ってことで、結局、花梨は用を言わないまま(思い出せないまま)通話を切った。

あたしはスープの味見をして、自分で


「ウマい!!いやはや、さすがは千早さんだね!!お店出せるよ!!」


とか言ってみる。




…だがしかし!!




一人じゃないのだよそこのキミ!!

味見してくれるのは、あたしだけじゃないのだよ!!


ということで。



「カイト、カイト!!味見、味見♪」


なんか歌っぽくなっているあたしの言葉に、カウンターへカイトがやって来た。


「なに?」

「だから、味見だよ、味見!!ふっふっふ…今日のは絶対美味しい!!いや、いつも美味しいけどね!!」

「あっそ」

「ちょっwwそこ普通褒めるとこww」


カイトはキッチンへと移動してきて、味見のために、あたしが使ったスプーンを手に取った。

…いや、ちょっと。


…ちょっと!!



「それ、あたしが使っ……」




パクッと。


止めようとした瞬間、カイトは躊躇うことなくそのスプーンで掬ったスープを口に入れた。


「ん。美味い」


で、何事もなかったように、ペロッと軽くスプーンを舐めて言う。

あたしは硬直状態だ。


や、だって…


だって今のはぁああ……ッッ!!!!





< 204 / 375 >

この作品をシェア

pagetop