電波的マイダーリン!
その美貌。
その雰囲気。
すべてがあたしと似ても似つかない彼。
本名、如月(きさらぎ)葵。
彼が何故、すべてが合わないあたしのことを“チィ”と呼び、
自分はあたしの“兄”だというのか。
その理由は――
「チィ?どうしたんだ?そんな怖い顔して」
葵が一歩、あたしに近づく。
表情は穏やかで、あたしとは正反対の空気を漂わせている。
あたしは一歩後退する。
すると、両肩を誰かに掴まれてグイッと引き寄せられた。
見上げなくても誰かはわかっていたけど、見上げた。
カイトだ。
怖い顔をして、威嚇するような冷たい瞳で葵を睨んでいる。
何かを言おうとしたカイトだけど、それを遮った人が居た。
「お久しぶりですね、“如月先パイ”?」
腕組をして、挑発するように軽く首を傾けた花梨が、やはり挑発するような口調でそう言った。