電波的マイダーリン!
「へぇ~…あの先生、すごいんだな…」
瑞希は感心したように頷き、「で」と続ける。
「で、なんでちーちゃんは、あの葵とかって男を怖がってるわけ?」
「…それは…あたしが話していいことじゃ、ないと思うわね…」
あたしのことを横目で見てから、花梨はそう言った。
けれど、次には顎をグッと引き、鋭い視線で空を睨み。
「とにかく!あたしはあの男…如月葵は許さないわよ!!今頃になって一体アイツはなんの用だっつの!!
あの顔見ただけで吐き気がするわぶん殴りたいわマジでk(強制終了/放送禁止用語多発)」
「か…花梨…顔が怖ぇよ…」
今にも何かを破壊しそうな花梨に、瑞希が顔を青くして宥める。
ギャーギャー騒ぎ始めるその二人を差し置いて、あたしの耳元にカイトが顔を寄せる。
「千早、大丈夫?」
「え、うん…」
「怖くなったら、言えよ」
「え」
「俺、傍に居るから」
「……うん」
カイトの真剣な顔に控え目に頷くと、カイトはフッと表情を柔らかくして、あたしの頭を撫でた。
そのぬくもりが、今はとてもうれしかった。
花梨と瑞希が帰った後(断る花梨をムリヤリ瑞希に送るように言ったあたしって偉い)、食欲がないと言ったあたしに、カイトがココアを作ってくれた。
カップを手渡されて、ベッドの上で膝を抱えていたあたしはそれをチビチビと飲む。
「……ココアとか、久しぶりに飲んだかも…」
「そう?」
「…なんか、懐かしいなぁ…。小さい頃さ、冬になるとお母さん、いっつもホットココア作ってくれたんだよねぇ…」
「…そっか」
「やっぱり、あったかいし…ほっとする…シャレじゃないよ。」