電波的マイダーリン!
「…ちょっと前までは、あたし…こんなじゃなかったんだ…
もっと普通に、友達と遊んで、恋バナしたりとか…
…今みたいに、ゲームとかアニメばかり見てなかった。
でもね、お母さんたちが離婚するって聞いて…や、その前くらいからちょっとずつ予兆はあったんだけど…
…その離婚話しから変わったんだ…」
そうだった。
あたしは、少し前までは、もっと普通で、もっと友達だって居た。
けど、あたしが変わって、周りも変わった。
「…寂しかったんだもん…
離婚する前から、ずっと…
…お母さんも、お父さんも仕事ばかりで…
気を紛らわしたくて、マンガばかり読むようになって…
…そしたらいつの間にか周りには誰も居なくなってて…
…寂しくて死んじゃうかと思った…」
だからアニメを見るようになった。
だからゲームをするようになった。
2次元の世界は、あたしを裏切らなかったから。
「…独りぼっちになったから、誰も知らない遠くの高校に入ったんだ。
…そこで花梨に会った。
花梨はこんなあたしを見ても、普通だった…
『個性的で何よりだわ』とか言って、逆に面白がってた…
…それが嬉しかった」
「でも」と続ける。
「…でも、あたしはその時まだ、花梨より――…
――…お兄ちゃんが好きだった」