電波的マイダーリン!
俯いていたカイトが、ゆっくりと顔を上げ、あたしを振り返る。
あたしは小さく自嘲した。
「変でしょ?わかってるよ。いくら血が繋がってなくても、変だよね、お兄ちゃんが好きなんて。
…家族なのにね。
でもわかんなかった。
好きになるって、自由だと思ってた。
あたしは、半ばお兄ちゃん…葵と同じ高校に行きたくて、今の高校に行ったのかも…なんて」
薄く笑って、暗くなった窓の外へと視線を向ける。
「でね、離婚話しが出たのは、あたしが高校に入った夏だった。
葵がお父さん側についていくのは当然だし、だから家を出ていくのも当たり前で…。
嫌だったから、あたし葵に言ったんだ…
『葵が居なくなるのはヤだ』って。
『好きだから』ってね…?
そしたら――…
…――襲われたの」
途端に震えが止まらなくなった。
「…でっでも…おっ襲われたって…違っ…くてね…?
…押…し倒され…違うよ…?
…違うよ…あたし大丈夫だから…全然…そういうのじゃないから…!」
震えと混乱と恐怖。
何がなんだかわからなくなったあたしは、頭を抱えてうずくまる。
けれど。