電波的マイダーリン!






俯いていたカイトが、ゆっくりと顔を上げ、あたしを振り返る。

あたしは小さく自嘲した。


「変でしょ?わかってるよ。いくら血が繋がってなくても、変だよね、お兄ちゃんが好きなんて。
…家族なのにね。

でもわかんなかった。
好きになるって、自由だと思ってた。

あたしは、半ばお兄ちゃん…葵と同じ高校に行きたくて、今の高校に行ったのかも…なんて」


薄く笑って、暗くなった窓の外へと視線を向ける。


「でね、離婚話しが出たのは、あたしが高校に入った夏だった。

葵がお父さん側についていくのは当然だし、だから家を出ていくのも当たり前で…。

嫌だったから、あたし葵に言ったんだ…
『葵が居なくなるのはヤだ』って。
『好きだから』ってね…?

そしたら――…













…――襲われたの」









途端に震えが止まらなくなった。


「…でっでも…おっ襲われたって…違っ…くてね…?

…押…し倒され…違うよ…?


…違うよ…あたし大丈夫だから…全然…そういうのじゃないから…!」


震えと混乱と恐怖。

何がなんだかわからなくなったあたしは、頭を抱えてうずくまる。


けれど。





< 230 / 375 >

この作品をシェア

pagetop