電波的マイダーリン!
あたしは立ち上がり、ベランダに続く窓へと手をつき、昼下がりの街並みを見下ろす。
「……花梨の…言う通りなんだよ…」
独り言のように、いや、確実に独り言を呟く。
聞こえているはずのカイトは、何も言わない。
「…ずっと、このままじゃダメなんだよ…逃げてばかりじゃ、どうにもならないから…
でも、どうしていいかわかんない…
逃げていられないけど、解決方法もわかんない。
…こういう時って、何も考えたくないよね…
…って、これも“逃げ”に入るのか…」
「ダメだなぁ」と笑う。
笑うけど、笑えない。
泣きたいような、でも泣いたらいけないような。
もう、何もわからない状態。
頭の中はぐるぐると、ぐちゃぐちゃと、まとまりがなくて、どこから手を付けていいのかわからなくて。
……わからないことだらけだ。
ため息をつこうとした、その時――…
…――後ろから、優しいぬくもりが伝わって来た。
それはカイトが、あたしを後ろから優しく抱き締めてくれているということで。
「……カイト?」
「美山に先越されて悔しいんだけど」
「え?」
耳元で響く、カイトの声がなんとなくくすぐったい。