電波的マイダーリン!
あたしは瑞希の寂しそうな背中を眺めながら、眉毛を下げつつそう言う。
すると葵は、困ったような顔をして笑う。
この笑い方は、きっと葵の癖だ。
「そうなのかい?墓穴どころか、むしろ格好いいじゃないか」
「茉莉さんもそう思うんだよー!!(挙手)」
「茉莉、あなたは黙っていて下さい(茉莉の頭を押さえつけつつ)」
双子の相変わらずさを見て苦笑いしながら、あたしは葵の言葉に頷く。
絶対、瑞希はカッコいいことしたと思うんだけどなぁ…。
腕を組んで頭をゆらゆらと左右に揺らしていたあたしは、「でも」と頬杖をついた葵に動きを止める。
「……でも、今回、これを解決するためには、誰かさんが素直になることだろうね」
葵の細めた視線は、テーブルの端に座る花梨に密かに向けられていた。
花梨はずっとこちらに背を向けて座っていて、けれど会話は聞こえていたはず。
葵の一言に、花梨がもしかしてまた泣き始めないかとビクビクしていたあたしは。
――ガタンッ!
突然立ち上がった花梨に、更に飛び上がってしまった。
けれど、そんなあたしを気にすることもなく、花梨は意を決したような顔をして、テーブルを離れ、瑞希の方へと歩いて行く。
今まで黙ってケーキを頬張っていた小町さんが、その後ろ姿を視線だけで追いながら小さく笑っている。
あたしも黙って、花梨の行動を見守った。
「……み、瑞希っ」
瑞希の背中に、花梨が声をかける。