電波的マイダーリン!
“探検”と表したそれは、言わば“思い出巡り”だ。
真夜中の暗い道。
二人でひた走る。
「まずはぁ…どこに行こうかにゃっと♪」
「いろいろありすぎて、わかんねェ」
「だよね……よし!じゃあ、記憶を辿って場所を辿ろう!まずは神社だ!」
「真新しい記憶だな」
「千早さんてば記憶力ないからね!どんどん上書きされていくのだよ!」
「へぇ…。じゃ、春のことは、忘れちゃった?」
また、そんな意地悪を言う。
忘れるわけ、ないじゃないですか。
「…嘘だよ。全部憶えてるよ。…全部」
静かに答えると、カイトは瞼を伏せ、「そっか」と、呟いた。
さっき来たばかりの神社には、すでに人は居なくて、シンと静まり返った空間が広がっていた。
「うわぁ……誰も居ない……これなんてホラー?」
「肝試しには寒すぎだから」
「凍りついて死んじまうわww」
「雪山かっつーの」
さっきは、ここで、ずっと、こうして居られるんだと思っていた。
カイトが“電波”だってことも、これがゲームだってことも、忘れていた。
途端に、さっきまで一緒に居た、花梨と瑞希が羨ましくなった。
二人は、こんな風に、唐突に、別れが訪れる、なんてこと、ないんだね。