電波的マイダーリン!





「いただきます」と手を合わせるカイトに、ちょっとビックリしたんだっけ。

一番最初に作って上げた料理は、質素な野菜炒めだったなぁ…(遠い目)。


そして今も、カイトは変わらず、「いただきます」と手を合わせて、オムライスを口に入れた。


「…ん。美味い」


ちょっとだけ、子供がオムライスを頬張ったときみたいな、嬉しそうな表情をするから。


あたしもつられて、嬉しくなる。


「よかった~!さっすが千早さんだね!」

「はいはい」

「なんだよぅ!美味しいんだからいいジャマイカ!」

「うん」

「いやだからそんなあっさり…(泣)」


なんて会話をしながら、最後の晩ご飯を二人で食べる。


オムライスは、コショウを効かせたつもりじゃなかったのに、なんとなくしょっぱい気がした。


泣くのを堪えていたから、涙が逆流したのかも。












お風呂から上がった時、時間は9時を示していた。

あと、少し。

カイトと居れる時間は、あと、ほんの少ししか残されていなかった。


「……一日って、こんなあっという間だったんだね…」


電気もつけずに、月明かりだけで照らされたあたしの部屋。

あたしはベッドの上で、膝を抱えて、窓の外を見つめていた。





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