電波的マイダーリン!
月は丸い。
欠けている部分なんて一つもない。
満月、だろうか。
カイトはベッドに寄り掛かり、同じように月を見上げながら「そうだね」と、短い返事をしてくれた。
そして、沈黙。
その間にも、時計の秒針は止まることなく時間を刻んでいるわけで。
あたしは、その音を聞くのも、嫌になって来た。
目を閉じて、耳を手で塞ぎ、膝に額を押しつける。
自分の鼓動だけが聞こえた。
ドクン
ドクン
ドクン
一定のリズムを聞いていると、なんとなく、虚しくなってきた。
どんなに思い出を辿っても、あの日に戻れるわけではなかったのに。
あの、出会った時のような、なんでもない感情に、戻れるわけではなかったのに。
どうして気がつかなかったのだろう。
あたしは、もう――…
…――こんなにカイトが好きなのに。