電波的マイダーリン!
右の腕を目の上に置き、口元でにんまりとおかしな笑みを作るあたし。
真中氏は盛大なため息をついた。
「……ったく。お前は、この時期が弱いなぁ…。ま、わからんでもないが…今日は卒業式だぞ?どうする?」
…さすが真中氏。
気づいてたのか…。
この時期。
カイトと出会った時期。
あたしは、いつも眠れなくて。
だから、つい、ネトゲで夜を明かすことが多い。
あたしは真中氏の言葉にしばし沈黙し、それから。
「すんません…ここで寝てます…。校歌とか聞こえるんでww」
「じゃ、ここで一人で歌ってろ、このバカ」
「うむ…」
呆れたような真中先生の言葉を聞いて、あたしは寝返りを打って、窓の方を向く。
向こうで、ドアの閉まる音がした。
保健室に来たのは、あの日以来。
まだ、鍵は壊れたまま。
開け放たれた窓から、桜の花びらと共に、春風が舞い込んでくる。
その心地よさに、あたしはスッと瞼を閉じ、眠りに入る。
遠くの方で、三年間歌った、校歌が聞こえてきたのを、眠りに落ちながら憶えている。
…――夢の中で、君はあたしの隣に居た。