バー恋 ~文字が色を放つ時~
「こんばんは」

「あっ……こんばんは。来てくれたんだ、よかった。悪い、俺傘持ってこなかったんだ、入れてくれる?」


 人懐っこい笑顔に緊張が解けていく。

「どうぞ、狭いけどね」

 ヒョイと傘を取り翔吾がさした。

 いきなり翔吾との距離が縮まって焦る。

 あの抱き締められた香りが、鼻をくすぐった。
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