バー恋 ~文字が色を放つ時~
「タクシー来ないな……」響いて聞こえる翔吾の声。

(神様……もう少しだけこのままでいさせてください。もう少しだけ……翔吾の彼女でいさせて……)


 優しい雨は二人を包んだ。

 路面を照らすヘッドライト。

 翔吾が上げようとした手をあたしは掴んだ。

「あっ……車、行っちゃったよ……」


 あたしの行動に苦笑している。
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