バー恋 ~文字が色を放つ時~
 あたしは今触れられた唇を、繋がれていた手で、そっとなぞっていた。

 走り出した電車にたまらなく、立ち上がり、翔吾のいるホームに駆け寄った。

 小さく手を振る翔吾を無言で見つめる。


 いやだ、もう……離れたくないよ……。 想いは涙に変わった。

 突然のキスは、あたしの心の封印を解いた。

 触れ合った温度が心を加速させる。
< 125 / 204 >

この作品をシェア

pagetop