バー恋 ~文字が色を放つ時~
「俺にだって、壊されたくないモノがあるんだよ……一つだけ……」

 急に腕を掴まれ、背中から抱き締められる。

「桜だよ……」



 いつもと違うのは優作も同じ。突然こんな事をする人じゃない。

 何かを感じている。間違いなく、見えない何かを……。

 あたしはただ、身体を丸めて小さくなり、小刻みに震える。優作の腕の中で……。
< 132 / 204 >

この作品をシェア

pagetop