バー恋 ~文字が色を放つ時~
「おいで、桜……」


 優作に背中を預け、瞳を閉じる。

 次に瞳を開けた時は、違う三人になっているのだろう。

 もう無邪気で幸せだった頃には帰れない。


 バーチャルだった翔吾を呼び起こしたのはあたしだ。

 リアルな優作を傷つけたのはあたしだ。


(ごめんなさい……)

 あたしは誰の許しを得るために呟いているのだろう。
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