真紅の空
*
「は・・・っ!!」
白い天井がぼやけて見える。
あ。
あの小さなシミ、見覚えがある。
あれは小さい頃、家族みんなで食べたすき焼きが
失敗して出来上がったおかしな黒ずみのシミだ。
ここは、あたしの家・・・・?
「由紀!大丈夫か?・・・おじさん、起きたよ!!!」
仁がお父さんを呼ぶと、思い切り体が揺れた。
「由紀いぃぃ!!大丈夫かー!?
どうした?ん?どうした?」
「ちょ・・っと、お父さん。苦しい」
「おじさん、倒れたばっかなんだから安静にしないと」
「だってさぁ!お前らが血相変えて“由紀が大変だ!”
なんて言うからさぁ!!」
お父さん・・・。子供みたい。
心配かけて申し訳ないけど、これくらいで大騒ぎされると
恥ずかしいっていうか・・・。
本気で涙目になるお父さんを、
呆れた顔でお兄ちゃんが宥めた。
仁はあたしを見て微笑むと、口を開いた。
「大丈夫そうで良かった。お粥あるけど食えるか?」
「え・・・。今日はオムライスじゃ・・・」
「だーめ。倒れたんだから、今日はもう寝なきゃな」
「仁・・・」
「薬とか持ってってやるから、部屋で寝てろよ」
「うん・・・。ごめんね」
仁の顔を見れずに、あたしは俯いて謝った。