真紅の空


突然出てきた言葉にびっくりする。


あたし、何言っちゃってんの!?


友達?


こんな着物着てるやつが?


どう考えても不自然な友達。


そんなあたしの言葉に、お兄ちゃんも
暁斉も驚いた顔をした。


「由紀・・・。お前やっぱ体調悪い?」


「友とはどういうことだ?お前、俺に向かって
 そんな口を聞いても・・・っぐ・・?」





「ああーお兄ちゃん、後で説明するから出てって!!
 着替えるから!」


突っ掛るように眉を顰めて反論した暁斉の口を
勢いよく手で塞ぐ。


お兄ちゃんは目を丸くして暁斉を指さした。


「え?でもそいつは・・・」


「いーからあっち行ってよ!お兄ちゃんの変態!!」


「へんた・・・はいはい。わかりました。
 すぐ下りてきてちゃんと説明しろよ?」


お兄ちゃんが少し傷付いたように肩を落とす。


そりゃそうだよね。


ごめん。お兄ちゃん。


変態なんてお兄ちゃんにとって一番ダメージのある
言葉だったね・・。





お兄ちゃんが出て行って2人きりになる。


あたしは階段をおりていくお兄ちゃんの足音を
聞きながら、扉をじっと見つめていた。


途端に暁斉の大きな手があたしの手首を掴んだ。




< 36 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop