真紅の空
再び
しんと静まり返る中、
お兄ちゃんが口を開いた。
「結城・・・。仁の知り合い?
兄弟か、親戚か、何かか?」
そうだ・・・。
結城って、今考えると仁と同じ苗字。
お兄ちゃんがそう考えてもおかしくはない。
はっとして暁斉を見ると、暁斉は困ったような
表情を一瞬だけ見せた。
「じん・・・」
タイミングが良いといえるのか悪いといえるのか・・・。
暁斉が静かに呟いたとき、インターホンが鳴り響いた。
【おはようございまーす!仁です】
「仁・・・?」
お父さんが玄関へと移動して仁を迎え入れた。
リビングに足音が近付くと、
仁とあたしの目があった。
「おう、由紀!体調はどう・・・・ん?」
仁が途中まで言いかけてあたしの後ろを見た。
暁斉を見つめる仁。
まずい・・・。
そう思ったあたしは咄嗟に口を開いていた。
今思うと、自分でもほんとに危なっかしいというか、
後先考えないっていうか・・・。
とにかく、動揺していたってことは確かだった。
「お兄ちゃん!暁はね、仁の弟なの!」