真紅の空
すごい・・・。
何食わぬ顔で話を合わせる仁。
しかもすっごいリアルな乗っかり方。
さすがのお兄ちゃんも納得したみたいに、
ふっと息をついた。
「なんだよ。知らないやつがいるもんだから
びっくりした」
「こいついつもこんなんで。なんか朝からすんません。
まだ時間あるし、ここでご飯食ってくかな~?」
「おいおい、仁。お前食い意地張りすぎだろ。
待ってろ。用意する」
仁が空気を変えるかのようにテーブルに着くと、
お兄ちゃんの顔も穏やかになった。
呆れたようにキッチンに立つと、
暁斉を見た。
「暁くん?飯は食ったか?」
「・・・・・いや」
「じゃあ座っとけ。さっきは悪かったな。
邪険にして」
「・・・・・」
まだ状況を整理できていないんだと思う。
暁斉はただじっと突っ立っていた。
「なんだー?無口?うるさい仁とは正反対だな」
「はー?先輩、それどういうことっすか!?」
「冗談。ほら、暁くん。座って座って」
・・・なんだろう。
とりあえずはこれでよかったのかな?
でもあたしは何故か腑に落ちなかった。
仁、どうして咄嗟に合わせてくれたんだろう。
そう思うとずっと頭がぼーっとしていて、
あたしはその場に立ち尽くしていた。