真紅の空
「ちょっと!やめてよ!!何してんのよ」
あたしがそう叫んでも、暁斉はただじっと、
仁を見下ろしていた。
仁はそれでも冷静に、その剣先を見つめる。
あたしはそれが本物だということ、
あっちの時代でわかってしまっているからなのかな?
動こうにも、怖くて動けなかった。
ほんとに、人の体を斬ってしまうその刀。
暁斉は、どうして仁にその刃を向けるの?
一番動揺しているのは多分、あたしかもしれない。
「暁・・・?何してんの?」
「俺の名を誤るな。俺の名は結城暁斉。
覚えておけ」
「結城?暁斉・・・?」
「そうだ。わかったな?」
暁斉の冷たい声に仁が頷くと、
暁斉はその刀を鞘に戻した。
ほっとして息をつくと、暁斉があたしを見た。
「こいつは信用できる人間か?」
「え?」
「仁とは、お前にとって信用できる者なのか?」
「う、うん・・・」
「そうか・・・」
あたしが頷くと、暁斉は綺麗に座りなおして目を閉じた。
その動作がとても綺麗で、
仁もあたしもじっとその様子を見つめていた。
「結城仁。俺の話をよく聞いておけ」
「話?」
「俺はここの人間ではない」
「は?」
仁が言葉を失くしたように声を上げた。
言っちゃった。
こんな無茶苦茶な出来事、知られちゃった。
信じてもらえないのが怖くて、
あたしはぎゅっと目を閉じた。
―ゆき・・・。ゆき・・・・―