真紅の空
則暁くんが部屋を出て行くと、
暁斉がはぁっと深いため息をついた。
「ね、ねぇ。驚かないの?」
「何を?」
「何が起こってるのかってこと」
「わからないものは仕方ない。
その時の状況に応じて、
自分に言い聞かせるしかないだろう」
わぁ、すっごい大人。
どうしたらそんなふうに冷静でいられるの?
だっておかしいじゃない。
何が起こってるの??
さっきまであたしたちは現代にいて、
あたしの部屋で仁と喋ってたはずなのに・・・。
仁に何もかも話してしまうところだったはずなのに。
ついさっきまで、安心する仁の姿があったのに・・・。
「また・・・。戻ってきた・・・・」
「俺にとってはそうだな」
暁斉は微かに笑うとそう言った。
「ちょっと待ってよ!!
あんたは戻ってきて万々歳だけど、
あたしは良くないのよ!!」
「はぁ?」
「戻してよ!!あたしの場所に!!」
「俺に怒鳴るな!!俺が連れてきたわけじゃない」
「あんたが何かしたからこっちに戻って
きたんでしょ!?」
「知らないっていってるだろ!?」
肩で息をして、あたしは暁斉を睨みつけた。
暁斉も、あたしの目を力強く見つめる。
あー、もう。
こいつのせいじゃないってわかってるけど、
怒鳴らずにはいられないのよ。
だって、また振り出しに戻っちゃった。
また、ここに来ちゃったんだ・・・。