真紅の空





イライラしながら教室へ戻ると、そこは静かだった。


誰もいないと思って中に入る。


一歩踏み出して初めて気付いた。


「仁・・・っ!?」


あたしの席に座っていた仁は手を振った。


「また呼び出しかぁ?」


「・・・レポート出せって」


「ああ、日本史?あれ、面倒だったなぁ」


「仁は終わったの?」


「おう。ちゃちゃっとな」


「そう。何時代について?」


「江戸!!っつか、幕末!
 高杉晋作とか、坂本龍馬とかな。
 かっこいいだろ!?」


「うん・・・。仁らしいね」


江戸がそんなに好きなのか、
仁は目を輝かせるように話し出した。


あたしはそんな仁に短く相槌をうつと、
仁は大きく笑った。


「由紀は?もう決めてんのか?」


まだ、決まってない・・・。


もう、いっそのこと
仁と同じ江戸にしちゃおうかな。


「あたしも江・・・―」


そう思って口を開いたときだった。











―ゆき・・・・。ゆき・・・・っ!!―











「戦国・・・時代」





どこからか、声が聞こえたの。



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