真紅の空
*
その声に、則暁くんが反応して視線を移した。
外に、誰か来てるの・・・?
「則暁くん・・・?」
「申し訳ございません。少々お待ちを」
則暁くんはそう言ってあたしに頭を下げると、
身を翻して外に出た。
なんか、
こうしてみると則暁くんも大人っぽいんだなぁ。
上品な身のこなしが素晴らしいと思うよ。うん。
でも、誰が来たんだろう・・・。
あたしがそう思っていると、
外から大きな声が聞こえた。
「いけません!暁斉様は今し方出発なさいました」
「でも!私はあの方のお顔を見たいのです!!」
「姫!!」
姫・・・?
もしかして、今外にいるのは・・・。
“お帰りください。雪姫様”
夢に出てきた、お姫様・・・っ!?
体が勝手に動いた。
その姿を見てみたくて。
気付くとあたしは門前で向かい合う
則暁くんと女の人を
遠くから眺めるように覗いていた。
「わかりました。追うことはしません。
ここでお帰りを待たせて頂きます」
「な、なりません!!」
「え・・・?」
嘘・・・。
どういうこと??
状況は一変して、
女の人がこちらに向かって歩いてきた。
どうしよう、隠れなきゃ!?
おろおろしていると、女の人が
あたしの姿を見つけた様子で、
びっくりした顔をして立っていた。