真紅の空
「戦国?かっこいいな。由紀、どんな心境の変化?」
「え・・・?今、あたし・・・」
何がなんだかわからない。
不思議な声が・・・。
誰かがあたしを呼ぶ声が・・・。
「ねぇ、仁。今あたしのこと、呼んだ?」
「は?や、呼んでねぇけど・・・。
てか、目の前で話してんじゃん」
「うそ・・・。じゃあ・・・・」
あの声は誰?
あたしを呼んだのは誰なの?
切羽詰ったような、切ない声は誰?
あたしを“由紀”と呼ぶのはお父さんとお兄ちゃん、
そして仁だけ。
今の声は一体・・・。
「由紀、戦国武将好きなん?」
「ちが・・・・っ。てか今、声しなかった?」
「声?」
仁が眉を顰めてあたしを見た。
聞こえなかったのかな?
もしかしてあたしの空耳?
―・・・き。・・・・き。返事をしてくれ―
「由紀?大丈夫か?」
―ゆきっ!!-
「由紀!!」
「え・・・。今、誰かがあたしを・・・」
仁には聞こえない。
だけどはっきり聞こえたの。
どこか、仁の声にも似てるような声が・・・。