真紅の空
頭がくらくらする。
何それ。
“死”が待ってるって何なのよそれ。
生まれてきたっていうのに、
その先に待つのは祝福ではなく、“死”。
それは、この人と暁斉が双子であったから。
現代だったら双子なんて珍しい奇跡みたいな子、
歓迎されないはずないのに。
でも、
この時代では双子は忌み嫌われる。
どうして?
理解できないわ。
「な・・・にそれ」
「貴女の土地ではこうした風習はないのですか?」
「あ、あるわけないじゃない!おかしいわよ。絶対」
「・・・そうですね。私も時折、そう思うのです」
「それに、どうしてあいつじゃなくて長男のあなたがっ!!
・・・その・・・・・ま、ま・・・」
「何故、間引かれるべき子が私だったか、ですか?」
あたしはその言葉にゆっくりと頷いた。
そんな恐ろしいこと、ありえない。
それにどうしてこの人は平然としていられるの?
あいつが・・・。
暁斉が、憎くないのかな・・・。
「私達はそれぞれ別な場所で5つになるまでの間、
育てられてきました」
「え・・・?」
「どちらが優秀であるか、見極めるためです」
「どちらが、優秀か・・・?」
「それぞれ面倒を見ていた父上の家臣が記録をつけ、
どちらが秀でているのかを見ていたのです」
それで、あいつが勝っていたってこと?
でも、則暁くん・・・
春仁さんだってこんなに完璧なのに・・・。
「暁斉様と私の記録は、
どこを見ても完全に一致していました」
「え?」
「同じように血を分け合いこの世に生れ落ちた私達に、
力にも頭脳にも、差などなかったのです」