真紅の空
名前の重み
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☆
「・・・おい!2人とも急げ!!」
「え?」
はっと我に返ると、目の前には仁がいた。
どういうこと?
ここは懐かしのあたしの部屋で・・・。
まさか、また戻ってきた??
2人ってことは、あいつも一緒!?
まさかと思って隣を見ると、
暁斉が驚いた様子で仁を見上げていた。
「由紀!!あ~・・・と、暁!早くしろ!!
学校遅刻する!!」
「がっこう・・・?何だそれは」
「あー!!あきな・・暁!!
とりあえず黙ってお兄ちゃんの制服に着替えて!」
「は?ちょ・・・おい、由紀!!」
目まぐるしい展開についていけない様子の暁斉は、
喚きながらもお兄ちゃんの部屋に押し込められた。
あたしが、押し込めたんだけどね。
部屋に仁と2人きりになるあたし。
しんと静まり返った部屋が居心地を悪くしていった。
「あの・・・仁、あのね」
「待て。・・・いいから。
何か事情があるなら何も聞かない。
あいつは俺の弟、ってことになってんだろ?
今はそれでいいよ」
「え・・・」
「心配すんなよな。
ちょっとは俺のこと頼ってくれよー」
仁がそう言ってあたしの頭を撫でる。
何だか不思議。
こんなおかしな現象の中であたし、変わっていってる・・・。
仁のこと、こんなに意識する自分がいるなんて・・・。
「おい!これはどうやって着るものなんだ!?」
隣の部屋から、暁斉の怒鳴り声が聞こえた。
あたしと仁は顔を見合わせて、
それから仁は大きく笑った。
「あいつ、制服の着方も知らねぇのか!?」
「じ、時代遅れなのよ。あいつ・・・」
「さーてと。お兄ちゃんが協力してやるかな?」
「仁!!」
「はは。お前は下で待っとけ。な?」
「ありがとう。仁」
全然わかんないけど。
どうしてこうなるのかなんて何にもわかんないけど。
あたし、春日由紀はもう1度、
この現代へと戻ってきたの。
あいつと一緒に。