真紅の空
*
学校までの道のりを3人で並んで歩く。
あたしの両隣には、似た声で喋る男が2人。
「じゃあ・・・暁は何が好きなん?」
「嫌いなものなんてあるわけないだろう」
「マジで?お前すげぇな!?なぁ?由紀」
「おい由紀。こいつは静かにできないものなのか?」
「2人ともちょっと黙ってよ!!」
あたしが叫ぶと、2人は同時に口を閉じた。
しんと静まり返る中、ただ足音だけが妙に響く。
そこで素直に黙らないのが仁。
大きく笑うと口を開いた。
「やっぱお前、最近可愛くなったな?」
「は、はぁ?」
「かーわいい」
「や、やめてよ。仁」
「あ。そういえば、暁。
こいつ、どうすんだ?学校で」
「え?」
「がっこう・・・」
暁斉はさっきから“学校”が気になって仕方ないみたい。
それはそうだよね。
あっちの時代に、高校なんて存在してないもん。
きょとんとしている暁斉はびしっとした緊張感はなくて、
制服を着ているからか、普通の男子高校生みたい。
小さく笑うと、暁斉がじろっとあたしをにらみつけた。
「あー・・・。どうしよう・・・」
「どっかに匿ってみる、とか?」
「どこかって・・・どこよ」
「学校の敷地内で、誰も来なそうなとこ?」
誰も来なくて、隠れていられる場所・・・?
暁斉を何気なく見たとき、あたしはふいに
ある場所が浮かんだ。
「・・・図書室は?」
「え?」
「と・・・しょしつ?」
「そう。図書室!!」