痛い。
ということで二人で一つの傘をさして帰ることになった。

一つの傘に二人で入るということは、体も結構くっつくわけで…


「ねぇこういうのってまずくない?だって優貴はあいの…」


自分で言っておいて胸がチクリと痛んだ。



「あいつ用事があるとかで帰っちまったんだよ。ひでーよなぁ…って、知ってたのか。」



優貴はいつもと変わらない口調で言う。

本人にそう言われると、なんだかとても切ない気分になる。

まぁ否定するはずもないか・・・



「で、何があったんだよ、マキ。」



突然真剣な口調に変わり、ドキっとした。

優貴の普段とのギャップにはいつも驚かされる。

何も考えてないようで、本当はすごく優しい―


「何も、ないよ。何も…。」


明るくごまかそうとしたが、何故か今日はダメだった。

優貴といるからかな。


「おいそんなんじゃ何か嫌なことがありました、って言ってるような感じだぜ?」


優貴は笑いながら言う。
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