痛い。
…そして休み時間。


「じゃ俺ちょっと言ってくるわ。」


「あとでなんの話だったか私にも教えてよねー」


「おう」



そう言って見送ったものの、やはり気になってしまう。

少し迷って、結局屋上まで行くことにした。


静かに階段を上っていくと、二人の声が聞こえてきた。


そしてまず聞こえてきたのはこの一言。


「…だから、私と付き合ってください!」


―え?


―嘘?


何それ…


それは確かにあいの声だった。


私は今にも崩れ落ちそうになりながら、階段の影に身を隠した。



あいは優貴なんて好みじゃないって言ってたのに。



どうして…



私は心の奥でこの可能性を分かっていたはずなのに、分からないふりをした。



あぁ、やっぱりな、という自分かいるのに、こんなに動揺している自分もいる。



優貴の声は聞こえない。


またあいの声が聞こえてきた。



「話しているうちに…好きになっていったの。だから、お願い…」



あいはそんな素振り全く見せなかった。

優貴ともいつものように友達として話している感じだった。

もしかしたらその楽しそうだったあいは、友達としてではなく、好きな異性として優貴を見ていたからあんなに笑っていたのかも知れない。

良く考えたら、優貴といるときに見せるあの笑顔、私といるときの笑顔とは違うような気がした。









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