痛い。
「おっす!マキ!」


後ろから声がしたと思ったら、背中をポンと押された。


「あ、おはよ~」


途中からの道が同じなので、マキとは登校時間に会うことが多い。



「げ。マキ寝不足?クマすごいよ。」



あぁ、ちょっと睡眠不足でして…ってか寝てないし。

あなたのおかげで一睡もできませんでしたよーっと。



「昨日深夜番組にはまっちゃってね。」



私は昨日の出来事が夢だと思いたかった。

まだ信じられないふりをしている。

傷が深くなるだけなのに、私はわざわざあいに聞いてしまった。


「それよりあい、なんか今日は機嫌いいじゃん?何かいいことでもあったか~?」



わざと明るい口調で聞く。


なんか痛々しいぞ、自分…



「あ~ちょっとね♪昨日嬉しいことがあったんだよね。」



「何~?教えてよ!」



「まぁ、隠しててもどうせばれるだろうし、約束だしね♪」



「…約束?」




「ほら、あの約束だよ。告白してokだったら好きな人を教える、みたいな。」




「あぁあれね、覚えてるよ。で、誰なの?」



あいは少し照れながら言った。



「柚木 優貴。」






あぁ、胸が痛い。



痛い、痛い。




こんなに冷静でいられる自分が信じられないよ。




痛い…




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