罪の果汁は甘い毒 完
罪の果汁は甘い毒



カーテンの隙間から、光が洩れた。それが顔に落ち、眩しさから一宮五十鈴はそっと薄目を開く。そしてその光を遮断しようとするように、目の上に片手をかざした。
まだもう少し眠気にたゆたっていたいと強く願いつつ、しかし彼女は一度目を覚ましてしまうともう二度寝を決め込むことが出来ない性質(たち)だ。


仕方なしに上体を起こす。そして自分の隣に視線を落とし、空っぽなそこを見て虚しさからため息を零した。


(…これで丸々一ヶ月)


指を折り、内心で数え上げた。日数にしてみれば30日にもなる。

毎日会いはするものの、人前で関係を悟られるような会話を出来るわけもない。連絡も途絶え、彼がこの部屋に来なくなった日数を初めて数えてみれば、それは思っていた以上に長かった。



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