儚空--クライソラ--【完】
オレンジのハナビシソウ。
白と緑のシロタエギク。
プリティーピンクの薔薇。
黄色のスイカズラ。
黄色の薔薇。
黄色のスイカズラは夢の誕生花。
店員さんに見せた。
「 これ、彼女喜びますかね?」
店員さんは笑った。
「 花言葉…見て見てはいかがでしょうか? 」
俺は店員さんが持っていた花言葉辞典を開く。
ハナビシソウ、希望。
シロタエギク、私はあなたを支える。
プリティーピンクの薔薇、可愛い人。
スイカズラ、愛の絆。
黄色の薔薇、励まし。
まさに俺の気持ちだった。
「 これ、お願いします。
3000円で、できるだけたくさん! 」
「 彼女さんの、誕生日ですか? 」
「 そうです。
彼女の誕生日なんです。
…病気の彼女の。だから、励ましたいんです。3000円で足りますか?」
「 その思いがあれば大丈夫です。
サービスしときますね。 」
「ありがとうございます。
あとから、とりにきます。 」
俺は急いで鳴海の家へと向かった。