儚空--クライソラ--【完】
鳴海の家の前に行くと、チャイムを鳴らす。

ガチャりとドアが開くと、出て来たのは鳴海だった。


「 遅いよ…仁!
待ちくたびれちゃったよぉ…。」

「 わりぃ。わりぃ…。今日、夢の誕生日だろ。プレゼント買ったんだ。 」


そして、俺を中に通す。



玄関には、男物の靴が2足無造作に投げ捨てられていた。



良かった…鳴海の兄さんいる。



俺は安心した。


鳴海と二人は、どうも…合わない。





鳴海には悪いが。




リビングに入ると、美味しそうな匂いがした。



「昼飯、何なの? 」


「 かにクリームコロッケと、
ハンバーグ‼︎お母さんと私で作ったの、昨日! 」




「 おお。鳴海の母さん料理美味かったよな!楽しみだぜ!
……それより、鳴臣と、空臣は?」



【鳴臣】なるおみ、【陸臣】りくおみ

この二人は鳴海の2歳離れた双子の兄さん。
俺と仲良い。




「 いないよ。」



俺はそれを聞いて鳴海に近づく。

どういうことだ?
じゃあ、俺ら二人きりか?



やばいぞ。これは…。

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