儚空--クライソラ--【完】
「どういうことだ?何故いない? 」

「 どうして怒るの?怒る理由ないじゃん!最初から、二人きりの予定なんだけど…。」


「 鳴海!いい加減にしろ!
俺には夢がいる。彼女がいるのに、他の女と二人きりだなんて…馬鹿げてる」




俺は我を忘れて鳴海を怒鳴る。




「 大丈夫だよ。私と仁はただの幼馴染でしょ? 夢が私たちを信じてれば何も問題はないじゃない。夢は束縛するような女の子じゃないでしょ?ね?」



俺はそれを聞いて少し納得してしまった。



きっと、夢は信じてくれるよな?




ていうか、まず…ばれないだろう。
鳴海の家で二人きりだったことなんてな。





今考えれば、俺は浅はかだった。



この頃は気付かなった。



これが、



───甘い罠だということを。




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