儚空--クライソラ--【完】
ご飯を食べ終わると、鳴海は俺にプリンを出す。


「 はい。プリン! 」

「 おお。ありがとうー。」

俺はプリンを受け取ろうとしたが、
鳴海が床に滑る。


後ろ向きに倒れて行く鳴海。

この家の床は硬い。
頭をぶつけると血を見るだろう。



俺は鳴海の頭が当たるであろう場所に手を出す。


でも、次は俺が床に倒れる。



ほんの小さな出来事だったのに、長くスローモーションみたいに感じた。



結局、鳴海の頭は俺の手で守られ、身体だけが床に打ちつけられ、俺はバランスを崩して、俺の顔は鳴海の胸の部分に叩きつけられた。


その時だった、


俺は確かに聞こえた。



シャッターを切るカメラ音が。




辺りには誰もいない。



気のせいだったのか…?



後から知った。



これが罠だったんだ、と。







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