儚空--クライソラ--【完】
花束はすごいでかかった。


3000円なら、普通は10本くらいなはずなのに。


「 あの、俺3000円分っていいましたよね? 」


目の前の花束は10本なんてものじゃない…


30本、いや…それ以上。


40本くらいあるだろう。



「 はい。しっかり3000円分です!」
店員さんは笑顔で答えた。


「 あの…どうみても。」

「 40本あります。
お金だと足りませんね…ですが、彼女さんを思う気持ちがあります。彼女さんを思う気持ち…それが代金です。」



俺は感動して泣きそうになった。




最近感動してなかったから、店員さんの優しい気持ちがすげー嬉しい。




「 ありがとうございます!
彼女、すげー喜びます。」


綺麗にラッピングされた花束。


男が自転車にのせるのは恥ずかしい。





でも、今はそれどころじゃない。




鳴海を携帯で呼んで、夢の病院へと向かった。



病院についたとき、一呼吸起き、ゆっくり病室を開けよう。







……この時の俺はまだ知らない。









今から起こる悲劇を。
















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