儚空--クライソラ--【完】
鮎川くんは何も言わず、皆が家から持ってきた具材を切り始める。
私も切り始めようとした…
が、「あ、鮎川くんどうしたの? 」
心の中の声が思いっきり声に出てしまった。
無理もない。鮎川くんは素早く慣れた手つきで、
人参やら、玉ねぎを綺麗にカットしていく。
見とれていたらいつの間にか
鮎川くんのカットは終わっていた。
「 終わった。どうする?」
青い瞳で私を見つめてくる。
私は唖然としてしまう。
「 すごいね…。」
言葉を出すのも精一杯。
なんていうか、鮎川くんは絡みづらい
仕事が終わった、今。
私たちは何をすればいいんだろう。