儚空--クライソラ--【完】
「 鮎川くん…どうする?」
私は鮎川くんに微笑むと、鮎川くんは何も言わずただニヤリと笑った。
そして、山へ登っていく。
私は付いて行こうか迷ったけど、
付いて行くことにした。
山は険しい急斜面。
見上げただけで気が遠くなる。
担いでいるリュックサックから軍手を取り出してはめる。
空は雲ひとつ無い快晴。
太陽がギラギラと光り輝いている。
私は無我夢中で登ることに専念する
「 ……。 」
「……。 」
私たちは何も喋らない。
ただ額から汗が流れ落ちる。
それをみては手で汗をぬぐう。
そのとき───
汗で前が見えなくなった
手は空中にあって、
足は急斜面の地面を滑るように流れていく。
私は一生懸命手でなにかをつかむ。
そして、掴んだのは────