儚空--クライソラ--【完】
気になった私は、さゆりちゃんに聞くことを決めた。
「ねえ、さゆりちゃん。」
「ん?どおしたのーゆめちゃん‼︎」
さゆりちゃんの持っているピンクの濃いケータイには、ジャラジャラとキーホルダーが付けられている。
動く度にジャラジャラと音を立てた。
「なるって、学校にきてないの?」
私がそれを聞くと、辺りはシーンと静まり返る。
空気で伝わる緊張感。
私は息を飲んだ。
「来て…ないよ。」
さゆりちゃんは笑顔じゃなくて、
なにかを目で伝えているのが分かる。
もしかして私は聞いてはいけないことを聞いているのかな?
それでも、気になってしょうがない。
「くわしく話…聞いていいかな?」
さゆりちゃんは頷いた。
私はさゆりちゃんの手を引き、中庭に出た。