儚空--クライソラ--【完】
私がひとりに慣れるのに時間はかからなかった。


いつもひとり。

ひとり。

ずっとひとり。




ある日の放課後。
「 咲田」と話しかけてきたのは




隣の鮎川くんだった。



「 なに? 」


あえてそっけない態度で示した。

鮎川くんは、隣の席に座って、横の私を見つめていた。


なぜだか、すごく緊張した。

「 あの…用ないなら…かえっ… 「キャサリン 」


大きな声で鮎川くんは言った。



キャサリン…!?


鮎川くんはどうしたんだろう。

となりの彼は立ち上がり、私の机の前に座り込む。

急に立ち上がってキャサリンって言って…。

そして、彼は


「 キャサリンとジョン 」と言い微笑んだ。


彼は私に手を差し出す。

握りしめられた手には、針金でつくられた指輪があった。




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