儚空--クライソラ--【完】
8年前───。


8歳の私。


ここはロサンゼルス。



私たち家族は一昨日、このカリフォルニア州のロサンゼルス市に引っ越してきた。


柵で覆われた、大きな庭。
プールもある。


日本人が多い地域だから安心して住める。


私たちが引っ越してきたのは



お父さんに会いたかったから。






お父さんはアメリカにいて、ずっと会えなかった。




ずっと写真の中の笑っているお父さんを見つめてた。



「夢ー!零ー! 」




「はぁい!お母さんっ!! 」



小さい私はお母さんに寄り添う。



お母さんは私の頬を撫でる。


零は私の手を頼りなく握る。




「 これから、ちゃんと英語使うのよ?
お隣のうちも日本から引っ越してきたみたいだから、今から挨拶しにいきましょう? Are you OK??」



「OK!!」


私はピンクのウサギのポシェットを肩に掛けた。



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