儚空--クライソラ--【完】
私たちは小6の夏まで一緒にいた。
アメリカだから、いつの間にか会話は英語になってて、Johnは大人びた。
小さいとおもっていた背に、いつの間にか抜かされていた。
一重の目は睨むととても迫力があった。
でも、いつも通りの仲だった。
John、とかCathearineって言いあって
ずっと遊んでて
ふざけて手を繋いだこともあったし
抱きついたこともあった。
私にとって、じゅんは男友達とかボーイフレンドじゃなくて
仲のいい兄弟っていう感じが強かった。
ある日のこと、Johnから急に呼び出された。
「John!What's up?? (ジョン、どうしたの?)」
Johnは下を向いて、寂しい顔をしてた。
「 ゆめ、今は日本語で話さないか?」
私より英語が喋れるじゅんがそういうのは珍しかった。
何かあるな、そう思った。
「 いいけど。」
夏なのに、冷たい風が吹く。
近くの海の波の音が聞こえた。
静かな今、確かにじゅんは言った。
「 俺、引っ越すことになった。 」