儚空--クライソラ--【完】



私たちは小6の夏まで一緒にいた。




アメリカだから、いつの間にか会話は英語になってて、Johnは大人びた。



小さいとおもっていた背に、いつの間にか抜かされていた。



一重の目は睨むととても迫力があった。




でも、いつも通りの仲だった。


John、とかCathearineって言いあって

ずっと遊んでて


ふざけて手を繋いだこともあったし


抱きついたこともあった。



私にとって、じゅんは男友達とかボーイフレンドじゃなくて



仲のいい兄弟っていう感じが強かった。




ある日のこと、Johnから急に呼び出された。



「John!What's up?? (ジョン、どうしたの?)」



Johnは下を向いて、寂しい顔をしてた。





「 ゆめ、今は日本語で話さないか?」


私より英語が喋れるじゅんがそういうのは珍しかった。



何かあるな、そう思った。

「 いいけど。」






夏なのに、冷たい風が吹く。





近くの海の波の音が聞こえた。



静かな今、確かにじゅんは言った。



「 俺、引っ越すことになった。 」





< 176 / 337 >

この作品をシェア

pagetop