儚空--クライソラ--【完】
「これ…っ。 」


じゅんの右手に握りしめられた指輪。



針金がまるめられてて、アクセントにビーズがつけられていた。



「 これ、やるよ!
手作りだけど、指輪。 」



私は人差し指につけた。


見た目は悪いけど、とても可愛く感じた。


それは、じゅんの優しさ。



ぶっきらぼうな優しさ。






彼にはこの言葉がよく似合う。





「 ちげーよ。薬指だよ。」



ニカって笑うじゅん。



ん?え?

薬指の指輪…それって…?



小さい私でもいろいろ考えた。


「俺、夢のこと好き。
離れるなんて考えられねぇ
なぁ、いつか大きくなったら迎えに行く。なぁ、俺といつか結婚してくれないか? 」

衝撃の告白だ。



私は気づいた。


私もじゅんが必要。



じゅんと離れたらだめ。




そう、これは恋なんだ。



なんで気づかなかったんだろう。




好きなんだ、じゅんが。



人生初のプロポーズ。



人生初の告白。


「 うん…!!」




そして、

人生初の婚約指輪。




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