儚空--クライソラ--【完】
今日、夢はあたしの家に泊まることになった。
あたしが、進めたんだ。
「ゆめ、今日あたしんちで泊まらない?今日、1人だから。ね、おねがい! 」
あたしが頼み込むと「夢は、仕方ないなー 」って言いながら聞いてくれたんだ。
夜ご飯は一緒につくった。
あたしの得意料理のコロッケと、夢の得意料理のハンバーグ。
一緒に食べたら、涙の味。
今まで、喧嘩したことを、2人で泣きながら謝ったんだんだ。
「 夢が病気になったこと、嬉しく思ってごめんね。 」
「 なるが病院に来ないで、って思っちゃってごめんね。 」
あたしたちは何度泣いた?
おいしいご飯は、全部、涙みたいにしょっぱくて……。
でも、とっても美味しかった。
一緒にはしゃいで、恋バナもたくさんした。
夢は、もう少しで死んじゃうかもしれないって泣いてた。
あたしは夢の肩を抱きながら、「 大丈夫だよ」ってずっと声をかけた。
夢が死んで1番困るのは、きっとあたしなんだ。
だから、夢にたくさん生きて欲しい。
たくさんいい思い出を残して欲しい。