儚空--クライソラ--【完】
「 誰とも、付き合ってねーぜ。」
そうやって、笑う仁の笑顔に
また、きゅん…ってしたんだ。
付き合ってるときよりも、ドキドキが多い気がする。
それは、抗がん剤の影響なんかじゃなくて…。
本当に、仁が好きだと実感した。
好きで、好きで…。
もうどうにかなってしまいそうだよ
「そっか…。 」
「 なぁ、夢。」
「なぁに? 」
「俺、今夢の彼氏じゃなくて、夢の”友達”だよな? 」
「うん…。 」
真面目な顔の仁…
「よしっ!…なら、これから病室来てもいいよな?
…彼氏として支えられないなら、友達として支える。
…ダメかな? 」
本当はダメっていいたかったんだ。
仁が来ちゃうとね、
もっと仁が好きになっちゃうんだ。
もっと、仁の良いところを知って、ますます嫌いになれなくなっちゃう…。
見れば見るほど好きになる。
仁はそんな人なんだ。
でも、好きな人からの頼みごとを
断れるわけないよぉ……。
じゅん、ごめんね。
最低な女でごめんね。
今、どこかにいるじゅんに心の中で謝った。